AI時代におけるSESの将来性とは?今後が不安なエンジニアのキャリア戦略

AI時代におけるSESの将来性とは?今後が不安なエンジニアのキャリア戦略

IT人材不足が続くなか、外部の技術者を活用する企業の需要は引き続き強い状況にあります。SESのビジネスモデルには中長期的な需要基盤があり、「SESはすぐなくなる」という見方は実態と合いません。ただし、「どの工程を担当しているか」によって、将来性は大きく変わります。

AIで効率化されやすい製造・定型テストだけに閉じている場合、評価が徐々に変化していく可能性があります。一方で、要件定義・設計・テスト設計・保守改善・顧客折衝まで担当範囲を広げているエンジニアは、生産性と市場評価を同時に上げやすい立場にあります。

この記事では、「SESの将来性への漠然とした不安」の正体を分解し、今の経験をどう市場価値に変えるかを整理します。

SESの仕組みや契約形態の基本については、SESとは|仕組み・メリット・デメリットを解説をあわせてご覧ください。

監修者
齋藤 宏幸
齋藤 宏幸 株式会社コーボー HR顧問

IT×人材分野で業界トップクラスの「レバテック」を提供するレバレジーズ株式会社の創業メンバー。創業当初5名→1,000名規模までの企業成長に携わる経験を有する。1,000名以上のエンジニアキャリア相談の実績や、在籍中に身に着けた営業力と組織構築力を活かし独立。現在では営業から人事コンサルタントまで複数社の発展に尽力。株式会社コーボーではエンジニア専任のキャリアアドバイザーから人事顧問を担当している。

執筆者
テックタレント編集部
テックタレント編集部

テックタレントフリーランスは、株式会社コーボーが運営するフリーランス向けの案件情報メディアです。エージェントサービスでは、フリーランスの働き方を応援するパートナーとして、案件提案から単価交渉、契約業務、参画後のフォローまで無料サポートを提供しています。はじめてのフリーランスの方もお気軽にご相談ください。

目次

SESの将来性が不安になる理由は、AI・工程・単価・市場価値の不安が混ざっているから

SESの将来性への不安は、1つの問題ではありません。AIで仕事が減る不安、同じ工程から抜け出せない不安、単価が上がらない不安、今後転職・独立できるか分からない不安——これらが混ざっているため、何から手をつければいいか分かりにくくなっています。

まず、不安の種類を分けて整理します。

AI不安:製造・テストがなくなるのでは

生成AIの普及により、定型的なコーディング・テスト・調査業務は、以前より少ない工数でこなせるようになりつつあります。「自分の仕事がAIに代替されるかもしれない」という感覚は、製造・テスト担当のエンジニアにとってリアルな不安です。

ただし、実際の開発現場ではセキュリティ要件や業務ルールの観点から、AIコーディングツールの使用が制限されているケースもあります。現場によってAI活用の浸透度は大きく異なるのが実情です。

工程不安:設計・上流に進めない

SESは現場のニーズに応じて工程が割り当てられるため、製造・テスト・保守運用だけを担当し続けるパターンになりやすい面があります。「設計や要件定義に関わりたいが、機会がない」という状況は、SESエンジニアに多く見られる課題です。

単価不安:商流・還元構造で収入が上がらない

多重下請け構造のなかでは、エンジニアへの還元率が見えにくく、実際の市場評価と手取りにギャップが生じやすい場合があります。単価や還元率の仕組みについては、SESエンジニアの単価相場|還元率・構造を解説で詳しく扱っています。

市場価値不安:転職・独立できるか分からない

「今の経験が外部でどう評価されるか分からない」という不安は、SESエンジニアが最も判断に迷う領域です。転職・フリーランス転向を検討するかどうかに関わらず、自分の市場価値を外部基準で確認できていないと、キャリア判断の根拠が持てません。

不安を分けずにいると、打ち手も見えません。どの不安が強いかによって、次に取るべき行動が変わります。

AI時代に価値が下がりやすいのは、指示通りに作るだけのSES経験

AI時代に価値が下がりやすいのは、SES経験そのものではありません。指示された製造・定型テストだけをこなす経験です。一方で、要件理解・設計判断・テスト設計・保守改善まで関われる経験は、今後も評価されやすい領域として残ります。

開発工程を「要件定義 → 基本設計 → 詳細設計 → 製造 → テスト → 保守運用」に分けて整理すると、AI代替リスクの分布が見えやすくなります。

AIが強い領域:

  • 製造(定型的なコーディング)
  • 定型テスト(スクリプトベースの実行)
  • 調査(ドキュメント要約・エラー調査)
  • リファクタリング(既存コードの整形・最適化)

人間が価値を出す領域:

  • コンテキスト理解(顧客の業務背景・課題の読み取り)
  • 利害調整(関係者間の合意形成)
  • 設計判断(アーキテクチャ・非機能要件の意思決定)
  • 品質判断(テスト設計・リスク評価)
  • 運用改善(障害対応・改善サイクルの設計)

ここで重要なのは、製造の外側——入口(要件定義・設計)と出口(テスト設計・保守改善)——への広がりです。製造工程の価値が下がるというのは、「コードを書く行為そのもの」の希少性が下がるということです。何を作るべきか決め、どう設計するか、品質を担保するといった判断を伴う工程は、AIが入ってきても人間の関与が必要な領域として残ります。

不安の種類によって、SESエンジニアが取るべきキャリア方向は変わる

全員がすぐにAIエンジニアやフリーランスを目指す必要はありません。どの不安が強いかによって、次に取るべき行動が変わります。

AI不安が強い人:まずAIを業務に組み込む経験から始める

まず最初に「今の業務でAIをどう使うか」から身につけていきましょう。GitHub CopilotやChatGPT等のツールで調査・コーディング・ドキュメント整理を効率化し、空いた時間を設計・提案・改善に使う。この積み重ねが、AI時代の市場価値につながります。

なお、AI時代には「AIエンジニア職」を目指すのが良いと考える方もいますが、この表現には誤解も多く含まれています。具体的には、AIエンジニアとは|仕事内容・年収・必要スキルを解説をご参照ください。

工程不安が強い人:製造の前後に担当を少し広げる

設計・テスト設計・保守改善への移行は、転職や資格取得を前提にしなくても、今の現場での意識的な行動から始められます。具体的な広げ方は次のセクションで詳しく説明します。

単価不安が強い人:商流と案件環境を見直す

単価が上がらない背景に多重下請け構造がある場合は、商流の浅い案件(エンド直・元請け直)や、評価制度が透明な環境への移行を検討する価値があります。単価・還元率の詳細は、SESエンジニアの単価相場|還元率・構造を解説をご参照ください。

市場価値不安が強い人:職務経歴書と外部評価を確認する

「今の経験が外部でどう評価されるか」は、考えているだけでは分かりません。担当工程・技術・改善実績を言語化し、実際に案件市場の評価を確認することが、キャリア判断の精度を上げます。

今のSES経験を市場価値に変えるには、担当工程と改善実績を言語化する必要がある

市場で評価されるのは「SESを何年やったか」だけではありません。どの工程をどの深さで担当し、どんな改善や判断をしたかです。

担当工程別に、評価されやすい経験と評価されにくい経験を整理します。

評価されやすい経験の例:

  • 仕様の背景・目的を確認した上で実装した経験
  • 設計書レビューに参加し、意見や疑問を出した経験
  • テスト観点を自分で考え、テスト設計書に関わった経験
  • 障害対応後に再発防止策を提案した経験
  • 顧客や上流に対して改善案を伝えた経験
  • AIツールで業務効率化し、改善プロセスに貢献した経験

評価されにくい経験の例:

  • 仕様書通りに製造・テストをこなすだけの経験
  • 「何年のSES経験があります」だけで担当工程の記述がない経歴
  • 保守対応はしているが、改善提案や言語化がない経験

不安が残るなら、今の経験が案件でどう評価されるか確認する

将来性への不安は、情報収集だけでは消えにくいものです。「SESはまだ大丈夫」「製造の価値は下がりつつある」という情報を読んでも、自分の経験が実際にどう評価されるかは分かりません。

自身のSES経験が案件市場でどう評価されるかを確認すると、次の3つのことが見えやすくなります。

1. 続けるべきか、環境を変えるべきか:今のままでも十分評価されるようなら継続、そうでないなら環境の変更を検討する余地があります。

2. どの経験を伸ばすべきか:自身の現状と案件で求められる工程・スキルを比較することで、伸び代が明確になります。

3. フリーランス転向の現実感:自身の経験値で「どのような案件が狙えるか」を知ることで、フリーランスというキャリアの選択肢がイメージしやすくなります。

転職やフリーランス転向の詳細な判断軸・手順については、SESからフリーランスエンジニアへのキャリアパスをご覧ください。

今のSES経験が案件市場でどう評価されるか、まず確認してみませんか?テックタレントフリーランスでは、エンド直・元請け直の案件を中心に扱っています。製造・テスト経験から広げられる案件、設計・上流に近い環境かどうか、キャリアアドバイザーが無料でお伝えします。
→今のSES経験が案件でどう評価されるか相談する

よくある質問

SESに将来性はないと言われるのはなぜですか?

AIの普及により製造・定型テスト作業の価値が相対的に下がりつつあることに加えて、多重下請け構造による評価・報酬の見えにくさ、案件選択の自由度の低さ、一部工程だけに経験が限定しやすい構造などが理由として挙げられます。ただし、SESという働き方自体がなくなるわけではなく、担当工程の広さと質によって将来性は大きく変わります。

AIでSESエンジニアの仕事はなくなりますか?

一気になくなることはありません。AIが得意とするのは「指示が明確で、成果物の正誤を機械的に確認しやすい作業」です。要件定義・設計判断・テスト設計・保守改善・顧客折衝など、コンテキスト理解と判断を伴う工程はAIが代替しにくい領域として残ります。現場によってはAIツールの使用が制限されているケースもあり、「AIがすべて代替する」状況とは異なる現実があります。

SESエンジニアはAIエンジニアを目指すべきですか?

全員がAIエンジニア職を目指す必要はありません。AI職種への転向より先に、「今の業務でAIをどう活用するか」から始めるほうが、多くのSESエンジニアにとって現実的です。AIを使いながら要件理解・設計判断・テスト設計・保守改善に広げることが、AI時代の市場価値を上げる主な方向です。AIエンジニア職そのものに興味がある場合は、AIエンジニアとは|仕事内容・年収・必要スキルを解説をご参照ください。

SESを続けるべきか、転職やフリーランスを考えるべきか迷っています

SESを続けること自体が問題なのではなく、「何を担当しているか」と「市場でどう評価されるか」が重要です。上流工程・設計・顧客折衝に触れられる環境があるなら、SESを続けながらキャリアを積み上げることは十分可能です。一方、何年も同じ製造・テストだけで担当範囲が広がる見込みがない場合は、環境を変えることを検討する時期かもしれません。転職やフリーランス転向の詳しい判断軸は、SESからフリーランスエンジニアへのキャリアパスをご覧ください。

SES経験だけでもフリーランス案件は狙えますか?

担当工程と実績によっては、フリーランス案件の評価を得られます。エンド直・元請け直案件では「どの工程を担当したか」「どんな改善・提案をしたか」が評価の起点になります。まず今の経験が市場でどう評価されるかを確認することが、判断の第一歩です。

製造・テスト経験から広げられる案件を相談してみませんか?テックタレントフリーランスのキャリアアドバイザーが、今のSES経験をもとに、エンド直・元請け直案件での評価感をお伝えします。
→エンド直・元請け直案件で評価される経験を確認する

監修者紹介

齋藤 宏幸

齋藤 宏幸

株式会社コーボー HR顧問

IT×人材分野で業界トップクラスの「レバテック」を提供するレバレジーズ株式会社の創業メンバー。創業当初5名→1,000名規模までの企業成長に携わる経験を有する。1,000名以上のエンジニアキャリア相談の実績や、在籍中に身に着けた営業力と組織構築力を活かし独立。現在では営業から人事コンサルタントまで複数社の発展に尽力。株式会社コーボーではエンジニア専任のキャリアアドバイザーから人事顧問を担当している。