SESエンジニアの単価相場|還元率の仕組みと手取りを上げる方法

SESエンジニアの単価相場|還元率の仕組みと手取りを上げる方法

SESエンジニアの単価相場は、一般的に月55万〜80万円が目安です。ただし、単価が高くても還元率やSES企業の商流構造によって、実際の手取りは大きく変わります。

この記事では、SESの単価相場を職種別・経験年数別に整理したうえで、還元率の計算方式や商流が手取りに与える影響を解説します。さらに、スキルの掛け合わせによる単価アップの方法から、高還元SESへの移籍で年間72〜84万円の差が生まれる具体例まで、SESのまま手取りを上げるための実践的な情報をまとめています。

監修者
齋藤 宏幸
齋藤 宏幸 株式会社コーボー HR顧問

IT×人材分野で業界トップクラスの「レバテック」を提供するレバレジーズ株式会社の創業メンバー。創業当初5名→1,000名規模までの企業成長に携わる経験を有する。1,000名以上のエンジニアキャリア相談の実績や、在籍中に身に着けた営業力と組織構築力を活かし独立。現在では営業から人事コンサルタントまで複数社の発展に尽力。株式会社コーボーではエンジニア専任のキャリアアドバイザーから人事顧問を担当している。

執筆者
テックタレント編集部
テックタレント編集部

テックタレントフリーランスは、株式会社コーボーが運営するフリーランス向けの案件情報メディアです。エージェントサービスでは、フリーランスの働き方を応援するパートナーとして、案件提案から単価交渉、契約業務、参画後のフォローまで無料サポートを提供しています。はじめてのフリーランスの方もお気軽にご相談ください。

目次

SESエンジニアの単価相場【職種・経験年数別】

SESの単価相場は、職種や経験年数によって月40万〜150万円まで幅があります。以下は、SES業界で一般的に使われている職種別・経験年数別の単価テーブルです。

担当工程別の単価相場

SES市場では「プログラマー」「SE」の境界が曖昧なため、担当工程・ポジション別に整理しています。テックタレントフリーランスの掲載案件(2026年4月時点・全2,543件)の平均単価は81万円/月、最高単価は150万円/月です。

担当工程・ポジション単価相場(月額)主な業務内容
テスト・運用保守40万〜50万円テスト実行・運用監視・障害対応
実装(詳細設計〜コーディング)50万〜70万円詳細設計・コーディング・コードレビュー
設計(基本設計〜要件定義補助)65万〜90万円基本設計・要件定義への参加・技術選定
上流工程(要件定義・全体設計)80万〜120万円要件定義・アーキテクチャ設計・技術方針策定
PL / PM100万〜150万円プロジェクト管理・クライアント折衝

経験年数別の単価相場

テックタレントフリーランスの過去記事「フリーランスエンジニアの年収と正社員の手取り比較」の経験年数別テーブルと整合させた数値です。SESの場合はここからマージン分が差し引かれます。

経験年数単価相場(月額)備考
1年未満40万〜50万円テスト・運用監視・ヘルプデスクが中心
1〜3年50万〜70万円実装〜詳細設計を担当できるレベル
3〜5年55万〜80万円★単価が大きく伸びる分岐点
5年以上70万〜100万円以上上流工程・リーダー経験で差がつく

なお、SESの単価は「人月単価」とも呼ばれます。1か月の稼働時間(一般的には140〜180時間の精算幅が多く、案件によって140〜190時間や150〜190時間の設定もあります)に対する月額報酬です。この単価がエンジニア本人にそのまま支払われるわけではなく、次のセクションで解説する「還元率」によって実際の給与が決まります。

SESの還元率とは? 給与が決まる仕組み

SESの還元率とは、クライアントがSES企業に支払う単価のうち、エンジニア本人の給与原資に回る割合のことです。一般的なSES企業の還元率は50〜60%、「高還元SES」と呼ばれる企業で70%以上のものも見受けられます。ただし、還元率の計算方法は企業ごとに異なり、単純に出取り額が高いから良いというわけではありません。

還元率の計算方式は企業ごとに異なる

還元率の計算方法は法的に統一されていないため、企業ごとに算出基準が異なります。一般的に、以下のような計算の考え方があります。入社や転職の際は、どの考え方で計算されているかを必ず確認してください。

月単価80万のときの計算方法

計算方式計算方法計算例
①額面方式単価 × 還元率 = 額面給与例)還元率70%のとき
80万円×70%=56万円が受取額。
②経費込み方式単価 × 還元率の中に人件費・交通費等が考慮される例)還元率70%のとき
80万円×70%=56万円
56万円-約10万(人件費含む諸経費)=約46万円が受取額
※諸経費は企業によって額が異なります

面接・入社前に確認すべき3つの質問

還元率が不透明なまま入社すると、想定より手取りが少なかったというトラブルに繋がります。以下の質問を面接や面談で必ず確認しましょう。

  1. 還元率の計算式を教えてもらえますか?
  2. 社内待機の場合(案件が途切れた場合)に給与は変動しますか?
  3. 自分の契約単価は開示してもらえますか?

これらにあやふやな回答しか返ってこない場合は、報酬の透明性に課題がある企業かもしれません。

▶ CA実務コメント
還元率の計算方式は企業によって本当にバラバラです。面接時に『還元率の計算方法は?』と聞いた際に、内訳をしっかり教えてくれるかどうかで、その企業の誠実さがわかります。そもそも契約単価自体を教えてくれない企業もあるので、透明性の低い企業は要注意です。
— テックタレントフリーランス キャリアアドバイザー

→ SES契約の基本的な仕組みについては「SESとは?メリット・デメリットやフリーランスとの違いを解説」で詳しく解説しています。

商流の深さが手取りを決める

SESの手取りに大きく影響するもう一つの要因が「商流の深さ」です。商流とは、エンドクライアント(発注元企業)からエンジニアが所属するSES企業までに、何社の仲介企業が入っているかを示す構造です。企業を1社経由するごとに5〜20%のマージンが差し引かれるため、同じスキル・同じ業務でも商流が深いだけで手取りが大幅に下がります。

商流別の手取りシミュレーション(エンドクライアントが100万円を支払った場合)

商流エンジニア本人に届く単価還元率60%の場合の給与原資
エンド100万円60万円
1次請け80〜85万円48〜51万円
2次請け65〜70万円39〜42万円
3次請け以降50〜60万円30〜36万円

同じスキル・同じ業務内容でも、3次請けと1次請けでは年間150~200万円以上の差が生じます。商流が深い会社に所属している場合、スキルアップだけでは手取りを上げにくい構造的な問題があるのです。

では、SESのまま手取りを上げるにはどうすればよいのでしょうか。次のセクションで具体的な方法を解説します。

SESエンジニアが単価・手取りを上げる方法

SESのまま手取りを上げるには、大きく6つの方法があります。効果が見えやすい順に解説します。なお「単価交渉」は単独では効果が限定的なため、他の施策と組み合わせることを前提に下位に配置しています。

1. スキルの幅を広げる — 言語1つから複数スタックへ

SES市場では、対応できる技術領域が広いほど単価が上がります。テックタレントフリーランスの案件データを見ると、言語やスキルの組み合わせによって月単価に明確な差があります。

スキル構成テックタレント平均単価SES複数社平均案件数
Java(単体)73万円66万円1,124件
SQL(単体)71万円63万円332件
Java + AWS + 設計経験80〜100万円該当案件多数
全案件平均81万円2,543件

出典:テックタレントフリーランス 案件検索ページ(2026年4月時点)

Java単体で73万円の単価が、AWS+設計経験を加えることで80〜100万円に跳ね上がります。SESにいるうちから副業や自己学習でスキル領域を広げておくことが、最もリスクの低い単価アップ手段です。

特に市場価値が高い掛け合わせは、バックエンド言語(Java/Python/Go)+クラウド(AWS/GCP)+上流工程(要件定義・基本設計)です。テックタレントの案件でも、この組み合わせは80万円以上の案件に集中しています。

2. 上流工程(設計・要件定義)に関わる

単価テーブルで上流工程(80〜120万円)と実装(50〜70万円)に大きな差がある理由は、設計や要件定義を担えるかどうかです。ただし、SESでは担当業務が案件によって異なるため、上流に関われるかは参画先の状況にも左右されます。

特に上流工程の経験は、職務経歴書やスキルシートに明記できる実績になります。SES企業内でのポジション変更でも、転職でも、フリーランス転向でも活きる経験です。

3. 高還元SESに移籍する — 転職だけで年72〜84万円の差

スキルを変えなくても、所属先の還元率を変えるだけで手取りは大きく変わります。高還元SESとは、還元率70%以上を掲げるSES企業の総称です。

東京だけで高還元SES企業は111社以上あり(SES企業 還元率研究所調べ・2026年2月時点)、転職サイトで多数の求人が出ています。

還元率が10%変わると、手取りはいくら変わるか

月単価80万円のまま、還元率60%の企業から70%の企業に移った場合

現在還元率60%
SES企業 32万
社保税
手取り
38万
月 +6万円 / 年 +72万円
移籍後還元率70%
SES企業 24万
社保税
手取り
44万
同じ月単価80万円・同じ仕事でも、還元率が60%→70%に変わるだけで社保・税金の増加分を差し引いても手取りは月6万円増えます。
スキルを変えなくても、所属先を変えるだけで年間72万円の差が生まれます。

※前提:月単価80万円・経験3年以上。社保・税金はSES正社員として会社と折半のため個人負担は比較的軽い。
※高還元SESの還元率は企業によって計算方式が異なります。「会社負担の社保が含まれていないか」を必ず確認してください(詳しくは本文H2-2参照)。

ただし前述の通り、還元率の計算方式は企業ごとに異なります。

▶ CA実務コメント
高還元SESへの転職は、スキルを変えなくても手取りを上げられる最も手軽な方法です。ただし還元率の数字だけで決めないでください。『案件の選択権があるか』『商流は何次が多いか』『教育・評価制度があるか』も合わせて確認することをお勧めします。
— テックタレントフリーランス キャリアアドバイザー

商流が1段深くなるごとに5〜20%のマージンが差し引かれます。3次請け以降が中心のSES企業から、1次・2次請けをメインとする企業に移ることで、同じスキルでも提示される単価自体が上がります。

4. 商流の浅い企業を選ぶ

面接や面談では「御社の案件はエンドから何次請けが多いですか」と聞くのが最も直接的な確認方法です。プライム案件(エンド直接受注)の比率が高い企業ほど、エンジニアに還元できる原資が大きくなります。

5. 自分の契約単価を把握し、会社に単価交渉を依頼する

SES正社員の場合、多くの企業では評価制度によって給与が決まるため、エンジニア個人が直接給与交渉をすることはありません。ただし実績を材料に、会社から案件元へ単価交渉を依頼することは可能です。そこで単価が上がれば、自身の評価が上がり給与に反映される可能性があります。

6. フリーランスに転向する

商流の浅いSESに転職するだけでなく、実力や実績のある方はフリーランスに転向することも選択肢の一つです。

以下は、同じ月単価でSES正社員とフリーランスの報酬額(控除前)を比較した表です。

SES正社員とフリーランスの額面比較

月単価SES正社員(還元率60%)高還元SES正社員(70%)フリーランス
60万円約36万円約42万円約60万円
80万円約48万円約56万円約80万円
100万円約60万円約70万円約100万円
120万円約72万円約84万円約120万円

月単価80万円の場合、SES正社員(還元率70%)の額面は56万円、額面としては諸経費を差し引いて約46万円ほどになります。一方のフリーランスなら80万円がそのまま自分の売上になります。ただしフリーランスは社保・税金を全額自己負担するため、手取り率は売上の52〜58%(約41.6〜46.4万)程度です。

そのため結論としては70~80万円がフリーランスのほうが手取りが上回ってきます。

→ フリーランスの手取り構造を詳しく知りたい方は「フリーランスエンジニアの年収と正社員の手取り比較をご覧ください。

SESからフリーランスへの転向を検討する場合

フリーランスへの転向は、経験3年以上・得意技術が1つ以上ある・現職の報酬構造に限界を感じている、の3条件が揃ったときが検討タイミングです。詳しいロードマップは別記事で解説しています。

・生活費3〜6か月分の貯蓄を確保する
・退職前にエージェント3社程度に相談し、獲得可能な案件と単価感を把握する
・開業届・青色申告承認申請書の手続きを調べておく
・国民健康保険・国民年金への切り替え手続きを確認する

→ SES3年目での転向を具体的に検討中の方は「SES3年目でフリーランスに転向すべき?独立の判断基準とロードマップ」(公開後URLを挿入)で詳しいステップを解説しています。

▶ いまの単価・還元率に不安があるならテックタレントフリーランスでは、エンド直の案件を多数掲載しています。「フリーランスに転向すべきか」「高還元SESと比べてどうか」も含めて、キャリアアドバイザーが無料で相談に乗ります。→ 無料相談はこちら

よくある質問(FAQ)

SESの単価相場はいくらですか?

SESの単価相場は、経験3〜5年のエンジニアで月55万〜80万円が目安です。ただし、職種・経験年数・技術スタックによって月40万〜150万円まで幅があります。

SESの還元率の平均はどのくらいですか?

一般的なSES企業の還元率は50〜60%です。高還元SESと呼ばれる企業では70%以上を掲げていますが、計算方式が企業ごとに異なるため、「会社負担の社会保険料が含まれていないか」を必ず確認しましょう。

SESの単価を教えてもらえないのはなぜですか?

企業のマージン率が明らかになるのを避けるためです。単価開示に応じない企業は、報酬の透明性に課題がある可能性があります。入社前に「単価は教えてもらえますか」と確認することをおすすめします。

SESエンジニアの単価はどうすれば上がりますか?

スキルの幅を広げる(言語+クラウド+設計)、上流工程に関わる、高還元SESに移籍する、商流の浅い企業を選ぶ、単価交渉を会社経由で打診する、フリーランスに転向する、の6つが主な方法です。

高還元SESは実際に転職先として選べますか?

はい。東京だけで111社以上の高還元SES企業があり、転職サイトで多数の求人が出ています。ただし還元率80%以上を掲げていても、計算方式(計算の内訳)には違いがあるため、「実質の手取り額」で比較してください。

SESとフリーランスではどちらが手取りが多いですか?

月単価80万円の場合、一般SES(還元率60%)の手取りは約38万円、高還元SES(70%)は約44万円、フリーランスエンド直は約42〜46万円で、高還元SESとフリーランスはほぼ同水準です。高還元SESとフリーランスの損益分岐点は月単価100万円前後で、それ以上の高単価帯からフリーランスの優位性が大きくなります。ただしフリーランスは有給・福利厚生・待機保証がなく、社会保険料も全額自己負担、インボイス制度への対応も必要です。

商流が深いとなぜ手取りが下がるのですか?

エンドクライアントからエンジニアの所属企業までに仲介企業が入るたびに5〜20%のマージンが差し引かれるためです。商流が浅い企業を選ぶだけでも、同じスキルで提示される単価自体が上がる可能性があります。

監修者紹介

齋藤 宏幸

齋藤 宏幸

株式会社コーボー HR顧問

IT×人材分野で業界トップクラスの「レバテック」を提供するレバレジーズ株式会社の創業メンバー。創業当初5名→1,000名規模までの企業成長に携わる経験を有する。1,000名以上のエンジニアキャリア相談の実績や、在籍中に身に着けた営業力と組織構築力を活かし独立。現在では営業から人事コンサルタントまで複数社の発展に尽力。株式会社コーボーではエンジニア専任のキャリアアドバイザーから人事顧問を担当している。