SES3年目でフリーランスへ転向する3ヶ月ロードマップ

SES3年目でフリーランスへ転向する3ヶ月ロードマップ

SES3年目のエンジニアから「フリーランスに転向したい。ですが、本当に自分が転向できるレベルなのかが分からない」という相談を受けることがよくあります。

結論からお伝えすると、SES歴3年前後は、フリーランス転向の分岐点として市場が機能しやすいタイミングです。ただし3年経ったら自動的に転向できるわけではありませんし、経験の内容によっては2年でも十分に選択肢がある場合もあります。スキル・年収目標・生活状況の3軸で自分のフェーズを確認した上で動くかどうかを判断することが重要です。

監修者
齋藤 宏幸
齋藤 宏幸 株式会社コーボー HR顧問

IT×人材分野で業界トップクラスの「レバテック」を提供するレバレジーズ株式会社の創業メンバー。創業当初5名→1,000名規模までの企業成長に携わる経験を有する。1,000名以上のエンジニアキャリア相談の実績や、在籍中に身に着けた営業力と組織構築力を活かし独立。現在では営業から人事コンサルタントまで複数社の発展に尽力。株式会社コーボーではエンジニア専任のキャリアアドバイザーから人事顧問を担当している。

執筆者
テックタレント編集部
テックタレント編集部

テックタレントフリーランスは、株式会社コーボーが運営するフリーランス向けの案件情報メディアです。エージェントサービスでは、フリーランスの働き方を応援するパートナーとして、案件提案から単価交渉、契約業務、参画後のフォローまで無料サポートを提供しています。はじめてのフリーランスの方もお気軽にご相談ください。

目次

なぜSES3年目が分岐点なのか:市場が評価する理由

案件獲得ラインを超えるのが「3年前後」

フリーランスエンジニア向け案件には、実質的な経験年数の足切りラインが存在します。テックタレントのCA(キャリアアドバイザー)が日常的に見ている案件データ傾向で言うと、月単価60万円以上のエンド直案件に安定して応募できるラインが「同一の技術スタックでの実務経験3年前後」です。

人によっては1年だろうと2年だろうと、技術力さえあれば認められると思うかもしれません。しかし、その技術力を正しく伝える面接の前には、必ず書類選考が行われます。書類上では技術に詳しいスタッフばかりが選考するのではなく、むしろ開発経験のない採用担当によって振り分けられます。その際、書類を深く読み込んで技術力を判断することよりも、経験の長さの方が採用担当が評価しやすい傾向があります。

だからといって、書類上に技術力の高さを盛り込むことが無駄という話ではありません。この「書類を通過するための3年」という数字が、案件獲得の成功率を上げる要因の一つとなります。

「3年の壁」の正体は技術だけではなくコミュニケーション設計力

SESで3年働くと、技術スキルと同時にもう一つの能力が育ちます。複数の現場を経験する中で「この現場のステークホルダーが何を優先しているか」を素早く読む力です。

フリーランスとして独立した後、案件継続率に直結するのはコード品質だけではなく、クライアントが何を期待しているかを把握してアウトプットを調整する力です。SESで複数現場を経験した3年目エンジニアは、この力も身についているであろうと考えやすいためです。

フリーランスになると年収が上がる理由

「フリーランスになると年収が上がる」とよく聞きます。この背景には、「売り手市場だから」ではなく、リスクに対する対価という構造的な理由があります。

年収が上がるのは「リスクに対する対価」

フリーランスは、正社員と比較して雇用保障・社会保険・有給休暇などのセーフティーネットがありません。案件が途切れれば収入がゼロになるリスクもあります。そのリスクを自分で引き受けるからこそ、単価が高くなるのです。

これは商流(下請け構造)だけで説明できる話ではありません。実際に、商流を挿みつつ高単価を得ているフリーランスも普通に存在します。年収が上がる本質的な理由は、「安定を手放す代わりに、その分が単価に乗る」という構造です。

エンド直・元請直案件のメリット

テックタレントが特化しているのはエンド直・元請直案件です。エンド直案件では高単価だけでなく、以下のような恩恵があります。

  • 参画前に案件の正確な情報を得られる
  • 参画後に案件元に対して直接交渉(単価交渉・現場改善・クレーム対応)ができる
  • 中間マージンが抑えられるため、同じスキルでも手取りが増える可能性が高い

テックタレント CA実績:転向後の年収変化

以下は実際にテックタレントフリーランス経由で転向したエンジニアの事例です。

年収増の幅はスキルと経験年数に比例しますが、いずれのケースも「リスクを引き受けた分が単価に反映された」ことが年収増の主因になっています。

SES継続 vs 転職 vs フリーランス:4択の比較

比較軸SES継続転職(SES)転職(事業会社・受託)フリーランス(エンド直)
月収の天井高くなりづらい現在よりは上がりやすい中〜高(企業規模による)高い(直接交渉で単価UP)
収入の安定性高い高い高い低い(案件継続リスクあり)
働き方の自由度低め低め低め〜中中程度(案件条件に依存)
手続きの手間ほぼなし少ない少ない多め(税務・保険)
向いている人安定志向現状維持に不安がある人1つの事業に深く関わりたい単価UP・案件を自分で選びたい
注意点次の会社をしっかり調べないと環境悪化のリスクありリモート・稼働時間等は案件毎に異なる

転職(SES)は意外と多くの方が選ぶ選択肢です。現在のSES企業より月収が上がりやすい反面、根本的な解決にならなかったり、環境が悪化するリスクも現実的には高いです。現状維持に不安があるだけで安易に転職するとこの罠にかかりやすいため、次の会社をしっかり調べてから動くことが重要です。

→SESとは?どんな職種か確認しておきましょう

フリーランスへの転向を迷っている場合は、この表を参考に自分の優先軸で判断してください。

転向するかどうかを決める前に

自分のスキルで今どのくらいの案件に応募できるかを確認するだけで判断が変わります。

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転向すべきか判断する3軸チェックリスト

転向の可否を「スキルだけ」で判断するのは失敗のもとです。テックタレントのCAがキャリア面談で使っている判断軸を3つに整理しました。

軸1:スキル軸

テックタレントのCAが案件紹介時に見ているスキルの基準は、以下の4点です。

① 軸となる技術があるか(最重要)

  • メインの言語・フレームワークで実務2年以上ある(3〜4年あると理想的)
  • その技術だけで複数の現場・プロジェクトを経験している

② 軸に沿った周辺技術があるか

  • メイン技術に隣接する領域の経験がある
    • 例:Javaサーバサイドが軸なら、JavaScript+React(フロント)+AWS(インフラ)の経験も
  • 設計・構築フェーズまで担当できると案件の幅が大きく広がる

③ マネジメント経験があるか

  • スケジュール管理・チームのモチベーション管理・採用や育成の経験がある
    • 必須ではないが、あると評価が上がり単価にも影響する

④ ポートフォリオについて(注意)

作るなら質にこだわりましょう。不完全・薄い内容のポートフォリオはマイナス評価になるケースがあります。

  • 量より完成度。公開するなら実用レベルのものを1本に絞る方が安全

軸2:年収目標軸

転向後に目指す月単価イメージを持っているかどうかで、転向タイミングが変わります。

目標月単価必要実務経験の目安備考
40〜55万円実務1〜2年選択肢は限定的。単価を上げるにはスキル補強が先決
55〜65万円実務2〜3年比較的案件が見つかりやすいゾーン
65〜80万円実務3〜4年エンド直案件の主戦場
85万円以上実務5年以上 or 希少スキルリードエンジニア経験があると有利

「現在のSES月収から20万円以上アップしたい」という場合は、65万円以上を目標に設定するのが現実的です。その水準を狙うなら、実務3年前後が準備タイミングとして最も合理的です。

※ 月単価40〜55万円は、実務1〜2年のエンジニアが現実的に見込める水準です。テックタレントCAの案件支援実績をもとにした目安であり、スキルセットや現場経験の内容によって変動します。

軸3:生活状況軸

フリーランスは収入の安定性が変わります。以下を確認してください。

  • 手取3〜6ヶ月分の生活費を貿蓄として確保できる
  • 社会保険・税金の自己管理に抵抗がない(または学ぶ意欲がある)
  • 直近1〜2年以内に大きな固定費の増加が予定されていない

判断の結論

以下の基準でフェーズを確認してください。

  • 転向フェーズ:軸1の○が2つ以上 + 軸2の目標が明確 + 軸3の懸念が少ない → 3ヶ月ロードマップへ進む
  • スキル積みフェーズ:軸1が○1つ以下 → 現現場でリード経験を意図的に取りにいく
  • 準備フェーズ:軸3に懸念が多い → 貿蓄・保険の下調べを先行させる

スキル積みフェーズ・準備フェーズの方も、今の自分のスキルで応募できる案件数を確認しておくと、「いつ動くべきか」の判断基準になります。登録だけでも情報収集として活用できます。

▶ 転向フェーズと判断した方は、次の「3ヶ月ロードマップ」へ進んでください。

まずはエージェントに登録して、自分のスキルで今どのくらいの案件に応募できるかを確認するところから始まります。

SES3年目からフリーランス転向 3ヶ月ロードマップ

チェックリストで「転向フェーズ」と判断した方向けに、実際に動くための工程を整理します。市場価値のある人材にはエージェント登録直後から案件が紹介されます。逆に言えば、3ヶ月を過ぎても進展がない場合は、スキルの補強かアプローチの見直しが必要なサインです。

【最重要原則】退職前に案件を確定させる

「会社を辞めてからエージェントに登録する」ではなく、「案件を内定させてから退職日を決める」が正しい順番です。

順番を間違えると低い条件を受け入れざるを得なくなるリスクがあります。

1ヶ月目 エージェント登録・棚卸し・本格応募

エージェント登録から初動の1ヶ月が最も紹介を受けやすい時期です。この期間を最大限に活用してください。

【やること】

  • 自分の技術スタックを棚卸しする(言語・フレームワーク・年数・担当フェーズを箇条書き)
  • 希望月単価の仮説を立てる(現年収÷12×1.3〜1.5倍が現実的な出発点)
  • フリーランスエージェント2〜3社に登録し、応募可能案件数を確認する
  • 職務経歴書をスキルシートに書き写す
  • 1〜2社のエージェントに絞り、担当CAと面談して方向性を共有する
  • 週2〜3件ペースで案件に応募を開始する

テックタレントのCA実績ベースで見ると、実務経験3年前後のエンジニアがエージェント登録から初回案件の面談まで進むのにかかる期間は平均2〜3週間です(テックタレントCA支援実績より、参考値)。そこから1〜2週間のうちに進まない場合は、めぼしい案件の玉数が底を打つ可能性があります。

重要な確認点

エージェントからの案件紹介が乏しい場合は、「フリーランスになるための技術スタック(準備)が足りていない」あるいは「足りないと思わせてしまっている」と判断した方が良いです。また、「そのエージェントには自身の技術スタックに合う案件がない」や「今の市場で求められる技術スタックと自身のスキルにズレがある」という可能性も考える必要があります。これらは自分だけで判断しづらいため、信頼できるエージェントのCAに率直に相談してみてください。

完了判断の基準:

  • 応募可能案件が月5〜10件以上存在し、面談が進行し始めていること。
  • 案件が少ない場合は、希望単価を下げるか、スキルの補強を先行させる。
  • ⚠ 注意:退職届の提出はNG。市場価値を確認する前に退職すると、想定より低い条件を受け入れざるを得なくなるリスクがある

2ヶ月目 オファー獲得・退職手続き

【やること】

  • 面談を重ねて「通過しやすいスキルの見せ方」を把握する
  • 「エンド直か・何次受けか」「リモート割合」「継続性(短期か長期か)」を確認する
  • 希望条件に近い案件1〜2本に絞り込んで本格交渉に入る
  • オファーを承諾し、稼働開始日を確定させる
  • 現職に退職の意向を伝える(オファー承諾後速やかに)

案件開始日と退職のタイミングについて

フリーランス案件の開始日は、多くが「即日」もしくは「翌月1日から」です。案件が決まってから退職手続きを始めると、開始日に間に合わないケースが多くなります。そのため、「翌々月1日から」の案件を狙うか、オファー承諾後すぐに退職意向を伝える必要があります。

労基法上は14日経過後の退職が可能です。これを活用する場合、「翌月1日から」の案件であれば、退職予定月の前半までにオファーをもらい承諾する必要があります。

完了判断の基準:

稼働開始日・月単価・契約期間が記載されたオファーがあり、退職日が確定している状態。

3ヶ月目 稼働開始・開業準備・初回請求

【やること】

  • 新現場でのオンボーディング
  • 開業届の提出(稼働開始日に合わせて税務署に提出、青色申告申請も同時に)
  • 国民健康保険・国民年金への切り替え手続き
  • 初回の請求書を期日通りに発行する(請求書発行ツールは事前に準備しておく)
  • 売上・経費を記録する仕組みを作る(クラウド会計ソフトが最も効率的)

開業届・確定申告について

開業届は紙1枚を提出するだけなので、気軽に出せます。事業を開始した日から1ヶ月以内」が提出期限ですので、余裕を持った提出ができます。保険・年金の手続きは「退職日の翌日から14日以内」なので、退職日の翌日からフリーランスの業務を開始した場合、働き始めてから手続きをすることになります。つまり、開業準備は最悪働き始めてからでも間に合います。

完了判断の基準:

初月の請求が完了し、入金確認ができた状態。ここが本当のスタートラインです。

なお、働き始めてから実際に口座にお金が入るまで2ヶ月程度のタイムラグ(無収入期間)が発生します。この期間をカバーできる生活費の確保を意識しましょう。

3ヶ月を過ぎても進展がない場合

エージェント登録から3ヶ月を過ぎてもオファーが得られない場合、以下の可能性を検討してください。

  • フリーランスになるための技術スタック(準備)が足りていない、あるいは足りないと思わせてしまっている
  • そのエージェントには自身の技術スタックに合う案件がない
  • 今の市場で求められる技術スタックと自身のスキルにズレがある

いずれの場合も、現職でのスキル補強に戻るか、アプローチを変える必要があります。「とりあえず案件を待ち続ける」のは得策ではありません。

FAQ

Q. SES3年目ですが、1社しか現場を経験していません。それでも転向できますか?

A. 1社でも同一の技術スタックでの実務経験3年があれば、案件への応募は可能です。ただし複数現場の経験があると有利な理由は、環境変化への適応力をアピールしやすいことにあります。1社のみの経験という前提であれば、その中でどのような技術をどの程度の期間でキャッチアップしたのかという詳細(適応力の証明)や、軸となる技術以外の記載(設計フェーズや他エンジニアへのサポート)を意図的に盛り込んでおくと応募の幅が広がります。

Q. SESは何年でフリーランスになれますか?

A. 目安は経験の内容によりますが、同一の技術スタックでの実務2〜3年以上が現実的な基準です。ただし「なれるかどうか」より「希望する単価の案件が存在するかどうか」を基準にするほうが現実的です。自分の希望単価帯に案件があるかどうかは、エージェントに登録して実際の求人数を確認するのが最も正確です。なお、実務1〜2年でも月単価40〜55万円帯の案件は存在しており、「今より高い月収を目指す」という目的であれば、スキル・経験に応じた段階的な転向も選択肢になります。

Q. 退職前に案件を確定させると言っても、現職に通知されませんか?

A. エージェントを通じた案件応募は、現職に通知されません。稼働開始日を現職の退職日以降に設定することで、在職中に面談・条件交渉を進めることができます。

まとめ:3年目は「転向できる準備が整うタイミング」

SES3年目でフリーランスへの転向を考えるなら、まず3軸チェックリスト(スキル・年収目標・生活状況)で自分のフェーズを確認してください。「転向フェーズ」と判断できたら、退職前に案件を確定させることを最優先に、ロードマップに沿って動き始めることができます。

フリーランスになると年収が上がる最大の理由は、雇用保障を手放すリスクに対する対価が単価に反映されることです。同じスキルでも、どの商流で案件を受けるかで月単価が大きく変わります。

市場価値のある人材にはエージェント登録直後から案件が紹介されます。まずは自分のスキルで今どのくらいの案件に応募できるか、無料登録で確認してみてください。

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監修者紹介

齋藤 宏幸

齋藤 宏幸

株式会社コーボー HR顧問

IT×人材分野で業界トップクラスの「レバテック」を提供するレバレジーズ株式会社の創業メンバー。創業当初5名→1,000名規模までの企業成長に携わる経験を有する。1,000名以上のエンジニアキャリア相談の実績や、在籍中に身に着けた営業力と組織構築力を活かし独立。現在では営業から人事コンサルタントまで複数社の発展に尽力。株式会社コーボーではエンジニア専任のキャリアアドバイザーから人事顧問を担当している。